2024.11.12
【活動報告】SOKENDAI社会連携事業:茨城県東海村での「宇宙線ミュオンで古墳を透視」プロジェクト
2024年10月13日(日)、茨城県東海村の「舟塚古墳群2号墳」に、本学教員が製作を支援したミュオン測定器が設置されました。この取組みは、東海村教育委員会、J-PARCセンター、茨城大学および東京都立大学による「宇宙線ミュオンで古墳を透視プロジェクト」の一環で、本学もSOKENDAI社会連携事業として、このプロジェクトを支援しています。
SOKENDAI社会連携事業「茨城県東海村での『宇宙線ミュオンで古墳を透視』プロジェクト」について
SOKENDAI社会連携事業は、本学の研究や教育の成果を社会に還元することを目的とした事業です。「茨城県東海村での『宇宙線ミュオンで古墳を透視』プロジェクト」はそのひとつで、宇宙線ミュオンによる古墳の非破壊透視調査を通じて、科学や総研大/ J-PARCセンターの研究に対する興味関心を深めてもらうことを目的としています。
プロジェクトの概要~ミュオンにコーフンクラブ~
茨城県東海村には重要な歴史的価値をもつ古墳が数多く残されています。「宇宙線ミュオンで古墳を透視プロジェクト」では、それらの古墳を「宇宙線ミュオン」を利用して非破壊的に内部透視する調査研究を推進するとともに、小中高生を対象とした文理融合型の教育プログラムを行っています。
2023年4月からスタートした本プロジェクトは、現在2年目を迎え、プログラムに参加する東海村および近隣市町村、茨城県外の子どもたちで構成される「ミュオンにコーフンクラブ」では、宇宙線や古墳について学びを深めるとともに、藤井芳昭氏(J-PARCセンター/総研大名誉教授)や小林隆氏(J-PARCセンター長/総研大・素粒子原子核コース教授)らをはじめとする専門家チームの指導を受けながら、ミュオン測定器の製作に取り組んでいます。
ある日の活動~「宇宙・加速器の講座」と測定器の組立体験~
今年度3回目の活動日となる8月31日(土)、「ミュオンにコーフンクラブ」の活動拠点である東海村「歴史と未来の交流館」では、高エネルギー加速器研究機構の小林愛音助教による「加速器で宇宙ふしぎ発見!」講義と、ミュオン測定器の組立体験が行われました。
前半の講義では、宇宙のはじまりから、素粒子や加速器の研究についてわかりやすく語られ、参加者はみな熱心に聞き入っていました。講義の後、当日の参加者18名が4グループに分かれ、藤井氏をはじめとするJ-PARCセンターの研究者や茨城大学の学生チューターの指導のもと、今後の測定器製作の練習を兼ねた簡易測定器の組立を行いました。各グループとも、自分たちが組み立てた測定器でミュオン検出することができ、今後の古墳透視活動に対する期待が大いに高まりました。
ミュオン測定器の設置
5回目の活動日となる10月13日(日)、清々しい秋晴れの空のもと、昨年度製作されたミュオン測定器「歴史と未来の測定器」が古墳に設置されました。
当日、「ミュオンにコーフンクラブ」の皆さんは「歴史と未来の交流館」に集合した後、バスで「舟塚古墳群2号墳」に移動しました。現地では測定器を乗せたクレーン車が待っており、参加者全員が見守るなか、作業員の方々はクレーンで慎重に測定器を吊り上げ、台座に設置しました。設置後、測定器をつなぎ稼働させると、無線ネットワークを通して測定データが確認でき、設置の成功に「ミュオンにコーフンクラブ」の皆さんも大興奮の様子でした。
今回設置した測定器のデータを解析しつつ、古墳内部のより正確なデータを収集するためには、もう1台測定器を設置する必要があります。「ミュオンにコーフンクラブ」では2台目の測定器の完成を目指し、今後も製作に取り組んでいきます。SOKENDAI社会連携事業も引き続き本プロジェクトを支援するとともに、「ミュオンにコーフンクラブ」の更なるご活躍を期待いたします。