第6回(2015年8月7日)

Yasu通信

イメージ写真:学長イラスト

Yasu通信 第6回(2015年8月7日)

梅雨は明けても湿度の高い日が続いていますね。蒸し暑さにもめげずに、勉学・研究に打ち込んでおられることと思います。

大学執行部も、今年はひとしお暑くて熱い夏を迎えました。というのは、来年度から始まる6年間の第3期中期目標期間における大学改革(文科省は「機能強化」と呼んですべての国立大学に求めた)構想と、それを盛り込んだ予算申請(「概算要求」と呼ばれるもので、この審査結果によって来年度からの予算配分額が決定されることになるもの)の書類提出の〆切が、7月22日だったからです。

それに向けた全学的議論は昨年度から行っては来ていましたが、具体的な計画にまで落とし込むためには、やはりギリギリまでの議論と調整が必要だったからです。この間、まず学長の私からのある種、理想論・原則論的な基本方向の提示から、各基盤機関訪問による専攻長等への説明、運営会議や各研究科教授会での議論、そして5機構の教育担当理事等(シニアパートナー)との議論を経て、全機構長との懇談を踏まえて、教育研究評議会、そして経営協議会での議論、加えてほぼ1ヶ月にわたる学長・理事間の激しい長時間にわたる集中的議論を通じて、現実的・具体的な構想・計画とそれら1つ1つに対する予算要求として遂に具現化させることができ、それらに対する経営協議会での最終審議によって得られた最終案を役員会で決定できたのは、〆切の前日7月21日のことでした。

その結果としてとりまとめられた『第3期中期目標期間における総研大の機能強化構想』のビジョンは、 「最先端研究環境をベースに独創的な研究者を育成し、新分野を開拓する大学院大学」 というものです。その構想は3つの戦略と5つの取組から成りますが、いずれも教員のみならず学生の皆さんにも深く関係し、きっと多くのメリットをもたらすことになるものと思います。特に、学生の皆さんに最も関係の深いものは、戦略I「最先端研究環境をベースに、基盤機関と連係し、時代が要請する独創的・国際的研究者を育成する」の下での、取組1「カスタムメイド高度専門的教育システムの構築」でしょう。そこでは、全学総合教育と分野横断型教育プログラムの充実に加えて、他大学・他機関等でのインターンシップを希望する学生にそれを可能とする制度を全学的に導入して、カスタムメイドな研究指導を行い、独創的研究者の育成をしてまいります。

この「機能強化」構想は研究科長の先生方のご意見を踏まえた上で学長と理事の合意で形成されたものでありますし、学長のみならず理事の深い思いと熱情、そして研究科長の現場からの冷静な判断と熱意が込められたものでもありますので、これらの総研大執行部の方々を、(おそらく学生の皆さんにはなじみのない方も多いかと思われますので)紹介したいと思います。

現在の研究科長は、小島道裕文化科学研究科長、中村幸男物理科学研究科長、神山崇高エネルギー加速器科学研究科長、柏木宣久複合科学研究科長、長谷部光泰生命科学研究科長、蟻川謙太郎先導科学研究科長の6名の方々です(注1)。これらの研究科長の方々とは、昨年の11月より本件を毎回の議題とした月一回の運営会議において、(専攻における教員や学生の皆さんを代表する形で)現場からの意見をいただいてまいりました。研究科長の皆さんには、第3期中期目標達成にむけた「機能強化実現」のための一つ一つの取組の実施において、陣頭指揮に当たっていただけるものと信じております。学生の皆さんも、大いに期待していただくと共に、協力をしてくださるようお願いいたします。

理事は、長谷川眞理子理事(副学長、教育・運営担当)、永山國昭理事(研究・社会連携・財務担当)、田村克己理事(評価・国際連携担当)の3名の方々です。これらの皆さんは、異なる分野の基盤機関・基盤専攻(注2)で永く経験を積まれており、ともすれば理想論・原則論が前面に出がちな学長のビジョンを、うまく現実論にアダプトさせるという貴重な役割も果してくれています。そして、理事の方々はきっと今後、この「機能強化」実現に向けた担当事業を、研究科長や基盤専攻の教員の方々と共に、1つ1つ実施していくための労を取って下さるものと信じています。学生の皆さんも、大いに期待していただくよう、お願いいたします。

私たちは、これまでのままの総研大ではいけないという危機感、時代と社会の要請に応えた大学改革をしなければならないという共通認識のもとに、この「機能強化」構想を策定してきました。この間、すべての機構長および機関長・専攻長から、陰日向より強いサポートとご尽力を得たことに、深く感謝いたしております。この実現には、今後も多くの困難があるかもしれませんが、何としてもやり遂げなければならないと思っています。私自身は、サイエンスに対する強い思いと、総研大で大きく研究展開を大学院生と共にだからこそできたことへのお返しをしなければとの使命感で、臨んでいきたいと思っています。そのエネルギーは、細々ながらも(土日祭日に)サイエンスを続けることで得られているのですが、皆さんとこのパトスを共有できれば嬉しく思います。

最後に、総研大のこの「機能強化」構想は、何よりも教職員と学生の皆さん方がより一層すばらしい成果を上げていただくことによってこそ真に実現され、そして評価されることになるものでありますので、皆さん方の理解と尽力を心よりお願いいたします。また、質問や意見があれば、いつでも私に寄せてくださると嬉しいです。では、また!

注1)それぞれの研究科長の所属専攻は次の通りです:小島先生は日本歴史研究専攻、中村先生は核融合科学専攻、神山先生は物質構造科学専攻、柏木先生は統計科学専攻、長谷部先生は基礎生物学専攻、蟻川先生は生命共生体進化学専攻。

注2)それぞれの理事の出身専攻は次の通りです:長谷川先生は生命共生体進化学専攻、永山先生は生理科学専攻、田村先生は地域文化学専攻。

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